2011.12.14
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角川映画、松竹、東映、東宝、日活――5社の協力で贈る「日本映画DVDセレクション」。第3回は日本映画史をDVDで振り返る企画第2弾として、「1978年」を特集しました。ここでご紹介している作品のほとんどは各社よりDVDが発売。作品によっては予告編やフォトギャラリー、解説書が封入されているものもあり、映画館に足しげく運んだ世代には、作品とともに当時のことが懐かしく思い出されることでしょう。
この年、何が起ったのか、何がブームになったのか、どんな作品が劇場公開されたのか――社会の出来事はもちろん、世相、流行、公開作品のラインナップを追っていくと、その当時の時代背景がより鮮明になってくるのではないでしょうか。
この年の出来事を追っていくと、まず3月、ルイ・ヴィトンが日本進出を果たし、4月は池袋の東京拘置所跡にサンシャイン60が開業、5月は新東京国際空港(成田空港)が開港し、12月は日中平和友好条約が調印されるなど1978年は、高度経済成長期を経た日本がより密接な国際社会との関係を築いていた時期だったことがわかります。

海外の影響を大いに受けながら、日本映画界も従来のプログラム・ピクチャー量産時代から1本立て大作時代へと、徐々に変貌を遂げていきます。中でも1月に公開された深作欣二監督の東映作品『柳生一族の陰謀』は時代劇復興を大きく掲げて大ヒット。邦画大作時代の追い風となるとともに、後にアメリカでも公開、クエンティン・タランティーノ監督お気に入りの1本としても知られる存在となります。

また、角川映画第3弾、薬師丸ひろ子のデビュー作でもある佐藤純彌監督のヴァイオレンス超大作『野性の証明』を筆頭に、洋画系で公開される日本映画が増えていきました。『野性の証明』はアクション・シーン撮影のためにアメリカ・ロケを敢行するとともに、『地上最強の美女バイオニック・ジェミー』のリチャード・アンダーソンをゲスト出演させ話題に。このように、海外スターを起用する作品も目立ってきます。中でも『コンバット!』のヴィク・モローを起用した深作監督のSF版“里見八犬伝”たる『宇宙からのメッセージ』は、前年度末の東宝作品『惑星大戦争』同様、77年夏にアメリカで大ヒットした『スター・ウォーズ』の日本公開(78年7月)を目前に控えたSFブームに便乗した作品。その商魂のたくましさもさることながら、短期間で特撮大作を作り上げてしまえる当時の日本スタッフの底力には脱帽します。

このSFブームを背景に、UFOを目撃して血が青くなった人間を国際社会が抹殺するという倉本聡オリジナル脚本、岡本喜八監督の異色作『ブルークリスマス』も作られています。本作は公開当時こそさほど話題になりませんでしたが、今では『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督が愛してやまない映画であることなども知られ、各方面でカルト的な人気を獲得しています。
この年はイギリスに試験管ベイビーが登場して賛否が巻き起こった年でもありましたが、現実社会もどこかSFがかってきていたようです。
人気を博していた映画スターに目を向ければ、『野性の証明』の高倉健はこの年、“あしながおじさん”を題材にした降旗康男監督のムード・ヤクザ映画『冬の華』にも主演し、ここでの成功が後の『駅Station』へとつながっていきます。同じく東映スターの菅原文太は、戦後北九州やくざたちの喧嘩野球を題材にした岡本喜八監督のコメディ『ダイナマイトどんどん』で気を吐きました。
一方、若き殺し屋を主人公にした村川透監督のハードボイルド・アクション『最も危険な遊戯』は映画ファンの間で瞬く間に人気を博して計3本のシリーズとなり、松田優作の映画スターとしての伝説を着実に築き上げていきます。歴代ヒロインを一挙集結させた市川崑監督の金田一耕助シリーズ第4弾『女王蜂』も、その豪華絢爛たる内容も併せて、このスター映画の中に含めていいかもしれません。
しかし、この年もっとも人気のあったスターということで挙げられるのはピンクレディーでしょう。ちょうどこの年の春、キャンディーズが解散し、歌謡界のトップに躍り出た彼女たちを映画界が見過ごすはずもなく、『ピンクレディーの活動大写真』が製作。歌あり踊りありのバラエティ豊かな内容は、アイドル映画の鑑ともいえるものでした。

この頃、いわゆる撮影所の助監督を経験していない自主映画出身の若手監督を商業映画デビューさせる機会が増えていきます。松竹は城戸賞受賞作『オレンジロード急行(エクスプレス)』で大森一樹監督を、日活は『高校大パニック』で石井聰亙監督の自主映画『高校大パニック』を澤田幸弘監督と共同で35ミリの商業映画としてリメイクしています。数学教師を猟銃で射殺して校舎に立てこもる青年の狂気は、受験地獄に苦しむ同世代の学生たちの心情ともリンクするものがありました。また、このときの同時上映はアリスのヒット曲をモチーフにした藤田敏八監督の『帰らざる日々』で、同じく70年代日活青春映画の総決算となった感もあります。
同社のロマン・ポルノ路線でも小原宏裕監督の『桃尻娘 ピンク・ヒップ・ガール』がクリーンヒットとなり、計3本のシリーズ化。ライトな80年代青春映画の先駆けともなっています。なお、日活はこの年の秋、社名を“にっかつ”と平仮名に改称しました。

キネマ旬報ベスト・テンをはじめ各映画賞をにぎわせた作品では、東陽一監督の『サード』や増村保造監督の『曽根崎心中』、カンヌ国際映画祭フランス映画高等技術委員会賞受賞の大島渚監督作品『愛の亡霊』などに交じり、松竹の野村芳太郎監督のヒューマン・ミステリ2作品『事件』『鬼畜』が深く印象に残ります。特に『鬼畜』はその宣伝コピーに「この秋、見比べてください」と打ち出したほど。その出来に対する同社の自信のほどがうかがえます。
この年の流行語の一つはディスコ・ブームを巻き起こした洋画『サタデー・ナイト・フィーバー』からとられた“フィーバー”。巨人軍の王貞治選手が800号ホームランを達成し、ホカロンやスライム、フロントホック・ブラ、パンパースなど新商品が発売、原宿にはブティック竹の子(竹の子族発祥)がオープンし話題となりました。
こうした熱狂をよそに、美空ひばりは紅白歌合戦出場を辞退し、年末には大映スター田宮二郎が猟銃自殺。家庭内暴力やサラ金地獄といったという言葉も取り沙汰されるようになりました。口裂け女の都市伝説が囁かれ始めたのもこの年から――。確実に時代は戦後から次の段階へと移り変わり始めていくのでした。(文=増當竜也)
メディア/品番:DVD DVN-72
発売日:2004.08.01
発売:日活/販売:ハピネット
税込価格:\3,990
本編尺:99分
カラー/画面サイズ:カラー/スコープ
音声:モノラル(日本語)
メディア/品番:DVD TDV18058D
発売日:2008.02.22
発売/販売:東宝
税込価格:¥3,990
本編尺:95分
カラー/画面サイズ:カラー/16:9LB
音声:日本語オリジナルモノラル
メディア/品番:DVD PIBD1110
発売日:2002.02.22
発売:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
税込価格:\4,935
本編尺:94分
カラー/画面サイズ:カラー/シネスコ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DA-0298
発売日:2004.01.24
発売/販売:松竹
税込価格:\3,990
本編尺:138分
カラー/画面サイズ:カラー/シネスコ
音声:①5.0chサラウンド②ステレオ
メディア/品番:DVD DABA-0506
発売日:2008.02.22
発売/販売:角川映画
税込価格:\3,990
本編尺:142分
カラー/画面サイズ:カラー/ビスタ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD BBBN-2008
発売日:2010.06.25
発売:日活/販売:ハピネット
税込価格:\2,940
本編尺:87分
カラー/画面サイズ:カラー/シネスコ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD TDV16159D
発売日:2006.07.28
発売/販売:東宝
税込価格:¥5,040
本編尺:83分
カラー/画面サイズ:カラー/ビスタ
音声:①日本語モノラル②オーディオコメンタリー(小谷監督×坂下千里子)
メディア/品番:DVD DSTD02089
発売日:2002.07.21
発売:東映ビデオ/販売:東映
税込価格:\4,725
本編尺:121分
カラー/画面サイズ:カラー/16:9LB
音声:モノラル
メディア/品番:DVD TDV16050D
発売日:2006.02.24
発売/販売:東宝
税込価格:¥4,725
本編尺:133分
カラー/画面サイズ:カラー/スタンダード
音声:日本語モノラル
メディア/品番:DVD DSTD02046
発売日:2001.11.21
発売:東映ビデオ/販売:東映
税込価格:\5,040
本編尺:89分
カラー/画面サイズ:カラー/16:9LB(シネスコ)
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DSTD02098
発売日:2002.07.21
発売:東映ビデオ/販売:東映
税込価格:\4,725
本編尺:130分
カラー/画面サイズ:カラー/16:9LB(シネスコ)
音声:モノラル