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-第5回 特集- : 「山崎豊子原作」作品特集

-第5回 特集- : 「山崎豊子原作」作品特集

 角川映画、松竹、東映、東宝、日活――5社の協力で贈る「日本映画DVDセレクション」。

沈まぬ太陽

沈まぬ太陽

第5回目は昨年10月に公開され28億円のヒットを記録、キネマ旬報ベスト・テン第5位に選出されるなど高い評価を得た『沈まぬ太陽』のDVD&Blu-ray発売を記念し、原作者・山崎豊子さんの特集を企画しました。

 幅広い年代に支持される山崎作品は処女作『暖簾』を筆頭に、これまで実に多くの作品が映画化・TVドラマ化されてきました。現在、映画は『花のれん』(59)、『横堀川』(66)、TVドラマは『ぼんち』(62)『横堀川』(66)『山河燃ゆ』(84)以外ほとんどの作品がDVD化。家庭でその世界観を楽しむことができます。

 5月28日に角川映画(発売)・東宝(販売)よりリリースされる『沈まぬ太陽』のBlu-ray、3枚組DVDスペシャル・エディション版にいたっては、特製冊子が封入されるほか、メイキング「渡辺謙in沈まぬ太陽」、特番「時代はなぜ山崎豊子を求めるのか」など貴重な映像が収録されています。本作をきっかけに、これまでの山崎文学作品を映像で見るのも面白いでしょう。

 そこで、本特集では山崎豊子作品の中でも、東宝、角川からリリースされている作品を中心に紹介。日本人の魂に響く山崎作品の魅力に迫ります。

何度も映像化された山崎文学を代表する3作

 山崎豊子の名前を一躍有名にしたのはやはり、1966年に公開され、キネマ旬報ベスト・ワンに輝いた山本薩夫監督、田宮二郎主演の大映作品『白い巨塔』だろう。近年では03年にフジテレビが制作し高視聴率を獲得した唐沢寿明主演作が記憶に新しいが(本作は台湾、中国、韓国でも放送!)、同じく高視聴率を記録した田宮二郎主演作にして彼の遺作になったフジテレビ制作の78年版も強烈な印象を残している。ほか佐藤慶主演の67年版(NETテレビ/現テレビ朝日制作)、村上弘明主演の90年版(テレビ朝日制作)と、『白い巨塔』は四度もTVドラマ化、07年には韓国でもTVドラマ化されるなど、山崎文学最高峰との呼び声も高い本作が、世代や国境を超えて愛されていることが分かる。

華麗なる一族

華麗なる一族

 また、1974年に公開され、キネマ旬報ベスト・テン第3位となった山本薩夫監督、佐分利信主演作『華麗なる一族』も07年、木村拓哉主演でTBSが制作、高視聴率を記録し大きな話題に。74年にもNETテレビ制作の山村聰主演作があるが、こちらもギャラクシー賞を受賞するなど高評価を得ている。そしてもう1作、76年に公開され、キネマ旬報ベスト・テン第4位となった山本薩夫監督、仲代達矢主演作『不毛地帯』も山崎文学を代表する社会派ドラマとして印象深い。

不毛地帯

不毛地帯

こちらも79年、平幹二朗主演でTBSがTVドラマ化、09年にも『白い巨塔』で好評を博した唐沢寿明主演でフジテレビがTVドラマ化している。この2作はいずれも『沈まぬ太陽』をはじめとした多くの山崎作品同様、実際に起きた事件や実在の人物、会社をモデルにしていることでも興味深い。当時は時代を映した、あるいは予見した社会派ドラマ大作として大きな関心をもって受け入れられたが、近年でも全く古さを感じさせない、新しいドラマ通用するところが他の追随を許さない山崎文学の凄さだ。

 近年の人気実力派俳優のTVドラマ化もあり、幅広い世代に認知・支持される山崎文学。代表作『白い巨塔』『華麗なる一族』『不毛地帯』以外にも、どんな映像化作品があるのか。骨太の社会派ドラマとはまた違った魅力を持つ初期の作品から時代を追ってご紹介しよう。(編集部)

処女作『暖簾』から戯曲化、映画化がスタート

暖簾

暖簾

 山崎豊子は大正末期、大阪市の老舗昆布問屋・小倉屋山本の家に生まれ、旧制京都女子専門学校(現・京都女子大学)国文科を経て、毎日新聞社に入社。大阪本社学芸部に籍を置き、当時、学芸部長だった井上靖のもとで、記者の経験を積んだという。やがて、勤務のかたわら小説を書き始め、1957年、生家の昆布屋をモデルに、親子二代の商人を主人公にした『暖簾』を書き上げ、作家デビューをはたす。同年、この処女作が菊田一夫の手で戯曲化され、開館したばかりの東宝直営の劇場、芸術座のこけら落としとして、森繁久彌主演により公演される。

 さらに翌年、映画化(58・川島雄三監督)され、山崎豊子の名が初めてタイトルロールに刻み込まれる。菊田の戯曲を監督自らが脚色、すでに舞台で演じてきたモリシゲの、舞台同様の強烈な個性と手堅い演技に支えられるところ大で、鬼才監督としては、破綻のない無難な作品であり、川島自身、「田舎の商人だった親父が、この映画を4回も見て、泣いたということです」と語り、満足げな様子だったという。独特の商法で、一代、二代と築き上げていく大阪商人の姿を軽妙洒脱に描いた本作は、浪花商人根性を全国に知らしめた本邦初の映画といってもよく、その意味で山崎、川島の両雄は、関西人に大いに自慢していい。

 そして、舞台、映画を通して、何より印象的だったのは後半、太平洋戦争によって塵灰と化した焼け野原のバラック小屋で、年老いた主人公がそれでもなお、とろろ昆布を掻きながら、店の再建に情熱を傾ける姿であり、これこそ戦後日本の復興の悲喜劇を、底辺から頂点まで、日本人すべてを通して描くことに腐心してきた、山崎豊子の面目躍如といったところだ。

成功を収めた『ぼんち』以降も続々映画化

ぼんち

ぼんち

 映画化された第3作『ぼんち』(60・市川崑監督)は、山崎文学の映画化で、初の大成功作品といっていいだろう。4代続いた老舗足袋問屋の一人息子が、義祖母と義母にさいなまれながらも、根っからの女好きゆえ、あまたの女と交情を重ねるが、その女性遍歴の果てにゆきついたものは……。ということで、これはまさに現代版「好色一代男」。 ここでも、終結部で太平洋戦争の戦火が主人公たちを翻弄し、思わぬ結果をもたらすことになるのだが、凝った映像、主演市川雷蔵の、計算の効いた茫洋とした絶品演技、豪華な女優陣らの恋と欲とのきらびやかにして壮絶な鞘当てなど、名手市川崑の演出が冴え渡った、娯楽大作であることに間違いない。

女系家族

女系家族

 『女の勲章』(61・吉村公三郎監督)は新藤兼人脚色による、新聞小説の映画化。大阪船場生まれの女性が、洋裁学校をスタートに服飾学園を立ち上げ、やがて関西デザイナー業界へと参入、さらにはフランス・ファッション界へと進出していく。事業欲と愛欲の狭間で揺れ動く女の心理を妙味たっぷりに描き、第一級のエンタテインメントとなっている。

 続く『女系家族』(63・三隅研次監督)も女性が主体で、女系の家筋の老舗を舞台に、当主が死んで残された3人の娘と、当主の妾との熾烈な遺産争いが展開、大映女優陣の演技合戦が主軸となったドラマである。


映画界・TV界をリードする看板作品に

白い巨塔

白い巨塔

『白い巨塔』(66・山本薩夫監督)は、山崎豊子の初めての男性巨編。大阪の医大医学部を舞台に、教授の後任選挙にからんだ経営陣と医師たちの暗闘を通し、医学界の腐敗に鋭くメスを入れた作品。「医は仁術か、算術か」未だ明確ならざる問題を、サスペンス映画のようなスリリングなタッチで描き、山崎にとっても、山本監督にとっても、また主人公を演じた田宮二郎にとっても、最高傑作として語り継がれ、大映映画の金字塔となった。そして、ここから山崎作品の映画化は、映画会社やTV放送局の看板作品として、業界をリードしていくことになる。

 『華麗なる一族』(74・山本薩夫監督)は、大富豪の銀行一族を中心に、富と権力をめぐる人間たちの野望と憎悪をダイナミックに描き、『不毛地帯』(76・山本薩夫監督)は、昭和30年代のFX(次期使用戦闘機)選定をめぐる商社の暗躍に、政治家の利権あさりを織り交ぜ、当時の政治経済状況の裏面を暴き出し、どちらも名人芸の山本監督により、骨太で力強い映画に仕上がった。と、山崎作品の映画化は、3作たて続けに大成功をおさめたが、この頃すでに映画会社そのものが疲弊し、こうした大作、問題作が作れない状況へと追い込まれていったのだ。そして、映像化の主軸はテレビへと移っていく。

 TV化の第一作は62年の『ぼんち』で、その後『女系家族』、『横堀川』(『のれん』『花のれん』『ぼんち』の3作品をアレンジした連続ドラマ)、『白い巨塔』、『大地の子』(『二つの祖国』のドラマ化)、再ドラマ化の『白い巨塔』『女系家族』『華麗なる一族』『不毛地帯』と、今日までめんめんと続いていて、いずれもTVドラマのサイズを超えた力作、超大作揃いである。

 山崎作品は単に人間の弱さ、醜さ、強さ、正義感などを描くだけでなく、そうした思いを抱き続け、昭和時代を頑張って生きてきた人たちの在り様を通して、戦中から戦後に至る日本の成長過程を描いていくという手法が、我がごとのようにすべての日本人の魂に、ここちよいメルヘンとして響いてくるからだろう。さすが和製バルザックである。(文=西脇英夫)

関連作品紹介

華麗なる一族(2枚組)

メディア/品番:DVD TDV2972D

発売日:2004.10.29

発売/販売:東宝

税込価格:\6,300

本編尺:211分

カラー/画面サイズ:カラー/スタンダード

音声:モノラル

■映像特典:予告篇、封入特典:6P解説書
沈まぬ太陽 スペシャル・エディション(3枚組)

メディア/品番:DVD TDV20119D

発売日:2010.05.28

発売/販売:東宝

税込価格:\6,615

本編尺:202分

カラー/画面サイズ:カラー/ビスタサイズ

音声:①ドルビーデジタル5.1ch ②ドルビーデジタル2.0ch

■特典映像:特報/予告編/プロモーション映像/TVスポット集、特典ディスク(DVD): 映像特典(161分予定)、封入特典:スペシャル・ブックレット(20P)/オリジナルポストカード(5枚) ※豪華外箱付

白い巨塔

メディア/品番:DVD DABA-0502

発売日:2008.02.22

発売/販売:角川映画

税込価格:\3,990

本編尺:150分

カラー/画面サイズ:モノクロ/スコープサイズ

音声:モノラル

■映像特典:特報/予告篇
女系家族

メディア/品番:DVD DABA-0178

発売日:2005.07.29

発売/販売:角川映画

税込価格:\4,725

本編尺:111分

カラー/画面サイズ:カラー/シネスコ

音声:モノラル


暖簾

メディア/品番:DVD TDV15319D

発売日:2005.11.25

発売/販売:東宝

税込価格:\4,725

本編尺:123分

カラー/画面サイズ:モノクロ/シネスコ

音声:モノラル

■映像特典:予告篇/撮影風景、封入特典:解説書
不毛地帯

メディア/品番:DVD TDV3251D

発売日:2004.11.26

発売/販売:東宝

税込価格:\4,725

本編尺:181分

カラー/画面サイズ:カラー/スタンダード

音声:モノラル

■映像特典:予告篇、封入特典:6P解説書

不毛地帯 1979年 毎日放送版 第1集~第3集(各3枚組)

メディア/品番:DVD TDV20033D~TDV20035D

発売日:2010.04.23

発売:毎日放送/販売:東宝

税込価格:各\15,750

本編尺:各約470分

カラー/画面サイズ:カラー/スタンダード

音声:モノラル

ぼんち

メディア/品番:DVD DABA-0116

発売日:2004.10.22

発売/販売:角川映画

税込価格:\4,935

本編尺:105分

カラー/画面サイズ:カラー/スコープサイズ

音声:モノラル

■映像特典:予告篇/スタッフ・キャスト解説/フォトギャラリー、封入特典:解説書

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