角川映画、松竹、東映、東宝、日活――5社の協力で贈る「日本映画DVDセレクション」。第6回目は日本映画史をDVDで振り返る企画第4弾として、「1985年」を特集しました。後にこの年の様々な出来事や事件をモチーフに映画化された作品も数多くあり、DVDで歴史を振り返るには適した時代ではないでしょうか。この特集から当時の日本の社会状況を知り、作品への興味を深めていただければ幸いです。
1985年は国際科学技術博覧会、通称“科学万博つくば”が開催され、実生活においても8ミリテープを用いたハンディカムビデオや、自動車電話を応用した移動電話ショルダーホンなど、当時としては画期的な技術の躍進が見られました。
また、青函トンネルの本坑が貫通したのもこの年(青函トンネル工事に関しては82年の『海峡』で詳しく描かれています)で、秋には、阪神タイガースが21年ぶりに優勝を果たしています。
その一方で悲惨な大事件も多発。マスコミの面前で殺人が実行された6月の豊田商事事件や、国航史上最悪の大惨事となった8月の日航ジャンボ機墜落事件などが起きました。ちなみに前者をモチーフに『コミック雑誌なんかいらない』(86)が、後者をモチーフにこのときの地元新聞マスコミの労苦を描いた『クライマーズ・ハイ』(08)が後に製作されています。
ほか、国鉄民営化に反対する者たちによるゲリラ事件や、毒入りドリンク事件が全国的に多発。さらには日本人エイズ患者第1号を厚生省が発表し、世界保健機構がエイズを感染病と認定しました。なお92年には、初めてエイズを題材にした映画『私を抱いて、そしてキスして』も製作されています。
80年代バブルの華やかさと、その裏の陰惨な出来事とが混在しているカオスのごとき1985年、日本映画界もラインナップを振り返ると、どこか混沌としたものを痛感させられます。

70年代後半から80年代前半にかけて日本映画界の台風の目として君臨してきた角川映画は、原田知世主演のラブストーリー『早春物語』(澤井信一郎監督)と志保美悦子主演のアクション『二代目はクリスチャン』(井筒和幸監督)のヒロイン映画2本立てで勝負。また幕末を舞台に日本とアメリカをまたにかけ、忍びたちの壮絶な死闘が繰り広げられるエンタテイメント・アニメーション大作『カムイの剣』(りんたろう監督)では、真田広之を声の主演に迎えています。ハードボイルド『友よ、静かに瞑れ』(崔洋一監督)のスタイリッシュな演出も光っていました。

その角川映画作品『Wの悲劇』に続き、薬師丸ひろ子は東映配給でフリー第1作『野蛮人のように』(川島透監督)に主演。プログラムピクチャー的資質をなおも残す東映は、『ビッグマグナム黒岩先生』(山口和彦監督)、『ビー・バップ・ハイスクール』(那須博之監督)などのコミック原作ものや、お得意のヤクザもの『最後の博徒』(山下耕作監督)に、『ひとひらの雪』(根岸吉太郎監督)、『櫂』(五社英雄監督)といった文芸ものまで幅広く製作しています。中でも、森田芳光監督が夏目漱石原作に挑んだ『それから』はキネマ旬報ベスト・ワンをはじめ、この年の映画賞を独占しました。

東宝では高倉健主演・降旗康男監督・木村大作撮影監督という、『駅/STATION』『居酒屋兆治』の黄金トリオによる新作『夜叉』が話題を集め、当時深夜ラジオ「オールナイトニッポン」のパーソナリティを務めていた共演のビートたけしも、毎週番組内で撮影時のエピソードを披露。実際の健さんがいかにユーモラスな人物であるかを大いに吹聴していました。東宝ではもう1本、大林宣彦監督の『さびしんぼう』が公開されています。監督の故郷を舞台にした“尾道三部作”最終編たる本作は、それまで邦画から離れていた若者層に日本映画の良さを知らしめることにも大いに貢献(なお本作のDVDは劇場公開版とディレクターズカット双方のエンドタイトルが収められています)。『お葬式』(84)で話題を集めた伊丹十三監督の第2作『タンポポ』も、現在の食ブームを先取りしたユニークな作品で、後にアメリカでも公開されてハリウッド・リメイクの企画もなされましたが、残念ながら実現には至りませんでした。

松竹は、ご存じ寅さん大活躍の第35作『男はつらいよ 寅次郎恋愛塾』および第36作『男はつらいよ 柴又より愛をこめて』(共に山田洋次監督)や、人気TV時代劇の映画化第2弾『必殺! ブラウン館の怪物たち』(広瀬襄監督)のような安定したシリーズものから、薄化粧を施しながら逃亡を続ける犯罪者の心の闇とそれゆえの悲哀を描いた五社英雄監督の『薄化粧』のような問題作、そしてアガサ・クリスティ原作のミステリ『危険な女たち』は松竹の大ベテラン野村芳太郎監督の最後の監督作品ともなりました。

一方、日活(当時はにっかつ)はロマンポルノがビデオ・ブームの波の中で苦戦し、『箱の中の女 処女いけにえ』(ガイラ監督)のようにさらなるハードな“ロマンX”路線を敷く一方、ドラマとしての激しい感情を露にした『高校教師 成熟』(西村昭五郎監督)や『人妻暴行マンション』(斎藤信幸監督)など秀作も出ています。また『みんなあげちゃう♥』(金子修介監督)のような一般映画も定期的に製作するようになります。相米慎二監督がロマンポルノに初挑戦した『ラブホテル』は、ジャンルの枠を超えたラブストーリーの傑作として、今も世代を超えて多くの映画ファンを魅了し続けています。
10億7000万円
メディア/品番:DVD DABA-0381
発売日:2008.04.25
発売/販売:角川映画
税込価格:¥3,465
本編尺:137分
カラー/画面サイズ:カラー/スタンダードサイズ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DA-0301
発売日:2004.01.24
発売/販売:松竹
税込価格:\3,990
本編尺:121分
カラー/画面サイズ:カラー/ビスタサイズ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD GNBD-7316
発売日:2007.3.21
発売:日活/販売:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
税込価格:\3,990
本編尺:69分
カラー/画面サイズ:カラー/ビスタサイズ
音声:モノラル
■特典:予告篇/作品データ/フォトギャラリー/解説書4P(封入)
メディア/品番:DVD TDV2608D
発売日:2001.07.25
発売/販売:東宝
税込価格:\6,300
本編尺:110分
カラー/画面サイズ:カラー/ビスタサイズ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD KABD-0150
発売日:2001.06.22
発売/販売:角川映画
税込価格:¥4,935
本編尺:104分
カラー/画面サイズ:カラー/ビスタサイズ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DSTD02499
発売日:2002.12.06
発売:東映ビデオ/販売:東映
税込価格:\4,725
本編尺:130分
カラー/画面サイズ:カラー/16:9LB
音声:モノラル
メディア/品番:DVD KABD-128
発売日:2002.02.22
発売/販売:角川映画
税込価格:¥4,935
本編尺:104分
カラー/画面サイズ:カラー/ビスタサイズ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DSTD02094
発売日:2002.07.21
発売:東映ビデオ/販売:東映
税込価格:\4,725
本編尺:94分
カラー/画面サイズ:カラー/16:9LB
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DA-0121
発売日:2001.11.21
発売/販売:松竹
税込価格:\3,990
本編尺:122分
カラー/画面サイズ:カラー/ビスタサイズ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD GNBD-7317
発売日:2007.3.21
発売:日活/販売:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
税込価格:\3,990
本編尺:66分
カラー/画面サイズ:カラー/ビスタサイズ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DSTD02140
発売日:2002.12.06
発売:東映ビデオ/販売:東映
税込価格:\4,725
本編尺:105分
カラー/画面サイズ:カラー/16:9LB
音声:モノラル
メディア/品番:DVD GNBD-7323
発売日:2007.6.22
発売:日活/販売:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
税込価格:\3,990
本編尺:88分
カラー/画面サイズ:カラー/ビスタサイズ
音声:モノラル