2011.12.14
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角川映画、松竹、東映、東宝、日活――5社の協力で贈る「日本映画DVDセレクション」。第11回目は今年で65年を迎えた8月15日の終戦記念日にちなみ、「第二次世界大戦を日本映画で振り返る」特集を企画しました。第二次世界大戦を題材にした作品は、これまで数多く作られ、それこそドキュメンタリーからドラマ、サスペンス、アクションなど、そのジャンルも多岐にわたります。戦争を知らない世代が多くなってきた今、特にこれからの社会を担う若い世代に、現実に起こった悲劇を知ってもらうためにも、戦争映画を通して、戦争への興味を喚起できれば幸いです。
1945年8月15日の終戦から早65年経ち、戦争の記憶が徐々に薄れ、その時代を知る人々の多くが世を去っていく中、戦争をモチーフに作られた映画こそは次世代に“戦争とは何か”を伝える最上のテキスト足り得るのではないでしょうか。

まずは1941年12月8日の真珠湾攻撃に始まる太平洋戦争の始まりから終結までをパノラマ的に描いていく超大作群。これらは歴史の流れを追う意味でもわかりやすいものがあるでしょう。舛田利雄監督の『大日本帝国』(82)は開戦時の首相・東條英機を主軸に、なぜ日本が開戦に踏み切ったのかを明らかにしつつ、前線に送り込まれていく一般庶民の悲劇を浮き彫りにしていきます。同じく東條を主人公とする堀川弘通監督『激動の昭和史 軍閥』(70)は、その軍事体制によってマスコミ言論の自由が奪われていくさままで濃密に描出。また、太平洋戦史を日本海軍からの視線で見据えながら、その中での家族の絆や別れなどを荘厳に屹立させていく『連合艦隊』(81)は、ラストの戦艦大和沈没を水墨画のように淡く哀しい映像美で魅せながら、一つの時代の終焉を告げていきます

『連合艦隊』の松林宗恵監督は仏僧の出で、同時に海軍軍人として実戦にも参加している文字通りの戦中派。だからこそ彼の戦争映画には仏教的無常感が漂っているのが特徴で、これは欧米の戦争映画には全くない彼独自の視点でもあります。そんな松林監督が真珠湾攻撃の勝利からミッドウェイ海戦の敗北までを描いた『ハワイ・ミッドウェイ大海空戦 太平洋の嵐』(60)は、ほんの些細な判断ミスが取り返しのつかない事態を招いてしまうという運命の皮肉までも巧みに伝えています。また、ここで円谷英二特技監督が構築した戦闘特撮シーンの数々は、後にアメリカ映画『ミッドウェイ』(76)に使用されるほど優れたものであったことも付記しておきましょう。

さて、ミッドウェイの敗北後、泥沼のような状況へと陥っていく日本軍の惨劇も、映画で数多く扱われてきています。関川秀雄監督の『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声』(50)では、学徒出陣で南方戦線へ送られた学生たちの過酷な運命が描かれます。戦死者たちの魂が一堂に日本を目指して歩き始めていくラストも衝撃的。飢餓の中で人肉食いというタブーの域にまで直面する市川崑監督の『野火』(59)は、実際にフィリピン・マニラ戦線に従軍した原作者・大岡昇平のリアルな視点を大いに活かしたものでした。一方、村山三男監督の『海軍兵学校物語 あゝ江田島』(59)は、海軍に憧れて訓練に勤しみ、やがて戦場に散っていった若者たちへのレクイエムを奏でていく青春映画でもあります。

そして1945年8月15日、ポツダム宣言受諾の決定に対し、あくまでも徹底抗戦すべきと、天皇の玉音盤をめぐる若手将校らの狂気に満ちた奪取戦を岡本喜八監督が堂々たるスケールで描いた『日本のいちばん長い日』(67)。これにてようやく太平洋戦争は終結しますが、実は未だに解決されていない問題も多々あり、またそれらを受けて、戦死者の霊を弔う僧侶と化した部下と対峙する一部隊の数奇な運命を描いた市川崑監督『ビルマの竪琴』(56/85年には同監督で『ビルマの竪琴』をセルフ・リメイク)や、渥美清扮する帰還兵が12名の戦友の遺書を遺族に届けようとする今井正監督『あゝ声なき友』(72)のような問題作も多々生まれています。

こうした日本の戦争映画の流れの中、一貫して戦争の非道を訴えながらさまざまな逆境に耐え続けていく青年・梶の彷徨を描いた小林正樹監督の戦争大河ドラマ『人間の條件』シリーズ(59/第1・2部、59/第3・4部、61/完結篇)には、もし戦時中このような若者がいてくれたなら……という戦後の人々の理想的願望も込められているのかもしれません。戦争という名の愚行に対して完全と異を唱えることの難しさや厳しさ、そして誇り高さを痛感させてくれる計9時間を超える文字通りの超大作。また、その原作者・五味川純平による大河小説『戦争と人間』も山本薩夫監督が三部作の超大作(70、71/第二部・愛と悲しみの山河、73/完結篇)として映画化していますが、これは太平洋戦争に先駆けて日中戦争への道をひた走る日本軍国主義の闇と、それに対する民衆の抵抗を描いた一大抒情詩として見逃すことのできない作品です。
最後に、軍部統制下における戦時中の日本映画界にも、ある意味不可思議な作品が誕生しています。木下惠介監督の『陸軍』(44)。そもそもは親子数代に亘って陸軍に携った家族を通して戦意昂揚を図るという目的で企画されたものだったのですが、そのラストで木下監督は出征する我が子をいつまでも見送り追いかける母の姿を延々と映し続けたことで、軍部の怒りを買ったのでした。息子を戦場に取られる軍国の母の姿を正直に描出したことで、思わぬ反戦効果をもたらしてしまったのです。
たとえどのような時代どのような思想の許に製作されようとも、戦争映画は人間をリアルに活写することで反戦の意が持ち上がる。そう思うと、改めて映画の奥深さというものを痛感せずにはいられません。 (文=増當竜也)
メディア/品番:DVD DVN-51
発売日:2002.11.01
発売:日活 販売:ハピネット
税込価格:\3,990
本編尺:125分
カラー/画面サイズ:カラー/シネスコ
音声:モノラル
海軍兵学校物語 あゝ江田島
メディア/品番:DVD DABA-0214
発売日:2006.7.28
発売/販売:角川映画
税込価格:¥4,725
本編尺:105分
カラー/画面サイズ:カラー/スコープ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DABA-0220
発売日:2006.7.28
発売/販売:角川映画
税込価格:¥4,725
本編尺:119分
カラー/画面サイズ:モノクロ/スコープ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DCTD02312
発売日:2010.06.01
発売:東映ビデオ 販売:東映
税込価格:\4,725
本編尺:180分
カラー/画面サイズ:カラー/シネスコ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DSTD02447
発売日:2005.08.05
発売:東映ビデオ 販売:東映
税込価格:\4,725
本編尺:107分
カラー/画面サイズ:モノクロ/スタンダード
音声:モノラル
メディア/品番:DVD TDV15209D
発売日:2005.07.22
発売/販売:東宝
税込価格:¥4,725
本編尺:158分
カラー/画面サイズ:モノクロ/シネスコ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DB-0333
発売日:2009.0729
発売/販売:松竹
税込価格:¥16,380
本編尺:574分
カラー/画面サイズ:モノクロ/シネスコ
音声:1~4巻モノラル/5~6巻4.0chサラウンド
メディア/品番:DVD DVN-137
発売日:2006.08.01
発売:日活 販売:ハピネット
税込価格:¥3,990
本編尺:85分
カラー/画面サイズ:モノクロ/スタンダード
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DABA-0323
発売日:2007.01.26
発売/販売:角川映画
税込価格:¥4,725
本編尺:104分
カラー/画面サイズ:モノクロ/スコープ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DCTD02448
発売日:2005.08.05
発売/発売:東映ビデオ 販売:東映
税込価格:\4,725
本編尺:127分
カラー/画面サイズ:モノクロ/スタンダード
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DVN-52
発売日:2002.11.01
発売:日活 販売:ハピネット
税込価格:\3,990
本編尺:116分
カラー/画面サイズ:モノクロ/スタンダード
音声:モノラル
メディア/品番:DVD TDV20030D
発売日:2003.12.25
発売/販売:東宝
税込価格:\3,990
本編尺:145分
カラー/画面サイズ:カラー/ビスタ
音声:ステレオ