2011.12.14
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角川映画、松竹、東映、東宝、日活――5社の協力で贈る「日本映画DVDセレクション」も昨年3月5日の立ち上げから早1年。第24回目の特集は、今なお熱狂的なファンに支持される特撮映画――中でも邦画5社が怪獣映画を製作した(!)、第一次怪獣ブームに焦点をあててみました。
日本が誇る特撮映画『ゴジラ』が誕生したのは1954年。以降、50年代後半から60年代にかけて、日本映画界は怪獣映画やSF映画、戦争映画など、ミニチュアや、着ぐるみなどを使った操演、マット画、オプチカルなどによる「手作りアナログ特撮」の繚乱期を迎えます。また、一般家庭にテレビが普及し始めた60年代半ばからスタートした「ウルトラ」シリーズが大ヒット。そんな良き時代の特撮映画への思いを、『グッドモーニング、ゴジラ―監督 本多猪四郎と撮影所の時代』『テレビヒーローの創造』(筑摩書房刊)など、特撮ものには造詣が深い映画評論家の樋口尚文さんに書いていただきました。
時代を超えて愛される特撮映画はDVD化、ブルーレイ化されているものもたくさんあります。今のCGIやデジタル合成では出せない味の表現や演出力を、CGI前世の今の時代だからこそ、見直してみてはいかがでしょう。
1960年前後に生まれた世代が、いくつになっても特撮ものの映画やテレビの魅力にとりつかれていることには訳がある。この世代は、なんといっても1966年を経験しているのである。1966年とは何か? この年は年明け早々に本邦初の本格的特撮テレビ映画「ウルトラQ」が放映開始となり、引き続き同じタケダ・アワーの枠で夏からは「ウルトラマン」がスタート、お茶の間は毎週繰り出される円谷プロの新怪獣に沸いた。

この人気にあやかろうと、邦画各社もこぞって怪獣ものの企画を打ち出した。ここにいわゆる“第一次怪獣ブーム”が起こるのだが、その起爆点は1966年のテレビの「ウルトラ」シリーズだった。テレビで、映画館で、少年雑誌で、特撮と怪獣漬けになった子どもたちにとって、当時のわくわくするような楽しさのつるべ打ちは本当に夢と幸福感に満ちていた。
たとえば忘れもしない1966年の4月17日、これは大映の『大魔神』『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』という、かの特撮もののメッカ・東宝ですらなしえなかった怪獣もの二本立ての初日であり、しかもその夜、家でテレビをつけると「ウルトラQ」の「ガラモンの逆襲」をやっていた……。

あるいは同年7月31日、東宝の映画館で傑作『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』の初日に興奮して帰ってきたら、夕飯どきにはテレビで「ウルトラマン」の第3話「科特隊出撃せよ」(透明怪獣ネロンガ登場!)にありつけた……。と、とにかく当時の怪獣づくし、そしてその作品の質の高さは今考えても凄いのである。
実は最近、公開当時を再現した『大魔神』『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』二本立てを劇場で観たのだが、この製作費をきちんとかけた物量と厚みのある画面、子ども向けと手加減も手抜きもしないストーリーに改めて驚かされ、ぐったりするほどの満腹感であった。
当時の邦画興行は年々不振の一途をたどっていたので、製作費のかかる特撮ものは60年代末には次第に敬遠されるようになってゆくが、今1966年を代表する怪獣ものとして挙げた作品たちは、斜陽期の撮影所最後の意地と粘りが生んだ力作揃いである。

66年内に続々と連作された『大魔神怒る』『大魔神逆襲』は、三隅研次、森一生ら時代劇の名匠の演出で詩情豊かなファンタジーに結実、昭和『ガメラ』シリーズも翌67年の『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』までは画面の質やスケール感を維持していたように思う。

そして、テレビで凄まじい人気の「ウルトラマン」が最終回の盛り上がりを迎えた前後のブーム白熱期には、松竹が『宇宙大怪獣ギララ』、日活が『大巨獣ガッパ』と、特撮に不慣れな会社までもが怪獣興行に参入してきた。当時の幼い観客の私ですら、なんでも怪獣ならいいという訳ではなく、この松竹と日活の怪獣映画の大きな看板が並んだ時の違和感は鮮やかに記憶している。そもそも怪獣ものやSFもの見たさに足しげく通った東宝の映画館のなじみやすさに比べて、子どもは松竹や、まして日活の映画館にはまず足を踏み入れたことがなかったので、何とはなしに大人専門の映画館に入り辛い感覚がまずあって、そこに『ゴジラ』『ガメラ』とは違って正体不明の怪獣映画をやっているというナゾな感じがつきまとった。
だが、それでも熱烈な怪獣映画ファンの私は『ギララ』も『ガッパ』も当時観たのだが、それぞれちょっとヘンテコな主題歌にずっこけたものの(子どもはいかにも子ども向けな明朗な主題歌など付けられるより、伊福部昭や池野成の重厚な楽曲のほうがずっとシビれるのだが、大人は判ってくれない)、『ギララ』は怪獣自体やアストロボートなどのデザインがけっこうモダンでカッコよく、逆に『ガッパ』は怪獣が熱海や日光の温泉場の芸者さんの舞う広間を襲撃したり、口にタコ咥えてたりと妙に和風なムードがおかしくて、こういうものを作り慣れていない撮影所が手探りでキッチュなものを拵えてしまたような妙味があった。

一方、かねて『宇宙快速船』のようなSFものを作ったりしていた東映は、こうした無理な違和感もなく、しかも東宝や大映とは一線を画したブームへのかかわり方を見せ、66年の異才・佐藤肇監督『海底大戦争』『黄金バット』(またはこれと併映の『怪竜大決戦』)のように現代劇、時代劇のアクションを基軸にして特撮を加味するという、お家芸を活かした作品を披露した。このSFアクション路線の延長に、68年の深作欣二監督『ガンマー第3号 宇宙大作戦』(これは『エイリアン』の元ネタになったのではないかとさえ思わされる、東映大泉で撮られたとは思えないカッコいいSFもので、当時かなりハマッた)で、フローラと呼ばれる怪物は登場するが、あくまで東映特撮の主眼はアクションなのである。
このように怪獣ブームの渦中にあって下手に怪獣を出さず、活劇で売る東映の作風は松竹に移植されて、佐藤肇監督は68年の『吸血鬼ゴケミドロ』で人間ドラマの含み多きサスペンスを軸にしたボディ・スナッチャーものを撮り大成功した(この併映はなんと同じく東映から借り出された深作欣二監督、丸山(美輪)明宏主演『黒蜥蜴』で、これは当時とんでもなく面白かった異色二本立てだった)。
こうして各社がそれぞれのスタンスと制約のもとで怪獣ブームに乗りこんでいた時、特撮・怪獣ものの本家・東宝の『ゴジラ』シリーズにはいささか怪獣プロレス的な即製感が漂っていて、むしろ先述した『サンダ対ガイラ』や67年の本多猪四郎監督『キングコングの逆襲』などの方が光っていた。
67年までの怪獣ブームは、翌68年からは妖怪・怪奇ブームにすりかわるが、なんと邦画五社が全社揃って怪獣物を製作した66~67年の“第一次怪獣ブーム”は、現在の精巧なCGやVFXでは逆に堪能できない、丁寧なハンドメイドの職人仕事の集積が生む「映像のけはい」が蠱惑的な、まさにアナログ特撮百花繚乱の時代であった。(文=樋口尚文)
メディア/品番:DVD DSTD02413
発売日:2005.04.21
発売:東映ビデオ/販売:東映
税込価格:\4,725
本編尺:73分
カラー/画面サイズ:モノクロ/16:9LB(シネスコ)
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DSTD02368
発売日:2004.11.21
発売:東映ビデオ/販売:東映
税込価格:\4,725
本編尺:83分
カラー/画面サイズ:カラー/4:3
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DABA-0470
発売日:2010.07.23
発売/販売:角川映画
税込価格:\2,940
本編尺:95分
カラー/画面サイズ:カラー/16:9LB(ビスタ)
音声:ドルビーデジタル/5.1chサラウンド/ステレオ
■特典:劇場予告篇
※ブルーレイも好評発売中
メディア/品番:DVD DSTD02366
発売日:2004.11.21
発売:東映ビデオ/販売:東映
税込価格:\4,725
本編尺:77分
カラー/画面サイズ:カラー/16:9LB(シネスコ)
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DABA-0696
発売日:2010.07.23
発売/販売:角川映画
税込価格:\2,940
本編尺:78分
カラー/画面サイズ:モノクロ/16:9LB(スコープ)
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DVN-16
発売日:2004.07.09
発売:日活/販売:ハピネット
税込価格:\4,935
本編尺:84分
カラー/画面サイズ:カラー/スコープ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DVN-100
発売日:2000.02.25
発売:日活/販売:ハピネット
税込価格:\9,450
本編尺:84分
カラー/画面サイズ:カラー/スコープ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DABA-0704
発売日:2010.07.23
発売/販売:角川
税込価格:\2,940
本編尺:84分
カラー/画面サイズ:カラー/16:9LB(スコープ)
音声:モノラル
メディア/品番:DVD TDV17329D
発売日:2007.12.21
発売/販売:東宝
税込価格:\4,725
本編尺:128分
カラー/画面サイズ:カラー/16:9LB(シネスコ)
音声:モノラル
メディア/品番:DVD TDV17012D
発売日:2003.04.21
発売/販売:東宝
税込価格:\4,725
本編尺:88分
カラー/画面サイズ:カラー/シネスコ
音声:モノラル