2011.12.14
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角川映画、松竹、東映、東宝、日活――5社の協力で贈る「日本映画DVDセレクション」。第20回目は日本映画史をDVDで振り返る企画第10弾として、「1977年」を特集しました。
この年、「キネマ旬報」本誌が選出した映画界の10大ニュースは、①チャールズ・チャップリン死去、②城戸四郎松竹会長死去、③『八甲田山』『八つ墓村』大ヒット、邦画1本立てに拍車、④『八甲田山』配給収入新記録樹立、⑤CIC配給『ブラック・サンデー』脅迫により上映中止、⑥角川映画第二弾『人間の証明』が前作を上回る大ヒット、⑦松竹が大船撮影所を分離、松竹映像としてスタート、⑧日活が撮影所の買い戻しに成功、⑨田中絹代死去、⑩2年ぶりに邦・洋画配収が互角に――。
10大ニュースにもあがっているように、1977年の日本映画界はキャッチ・コピーが印象に残る角川映画や、『八甲田山』のような大作が軒並み大ヒット、活況を呈していました。ここでご紹介している作品のほとんどは各社よりDVDが発売。映画館に足しげく運んだ世代には、思い出深い作品とともに当時のことが懐かしく思い出されることでしょう。この年を代表する作品群から、当時の映画界のムーブメントを確認してみるのも一興です。
1977年は、日本映画界そのものが大きな変換をなし遂げた年でもあります。具体的には、従来のプログラム・ピクチュア路線から大作路線へと転換。それまで“洋高邦低”とマスコミに騒がれて久しかった日本映画界ですが、前年の1976年に角川映画第1作『犬神家の一族』が公開され大ヒット、ここからさまざまな方面で映画の企画が派生していきます。中でも予算と時間をかけた大作路線の作品は、そのゴージャスな装いとTVスポットを中心にした大宣伝とが相俟って、日ごろ邦画を見ない洋画ファンまで興味を抱かせ、映画館へ足を運ばせることとなりました。

その筆頭とも言えるのが、角川映画第2弾、佐藤純彌監督の『人間の証明』。当時の日本映画界としては異例のアメリカ、ニューヨーク・ハーレムの長期ロケ、ジョージ・ケネディらハリウッド・スターの起用、松田優作をはじめとしたオールスター・キャストの出演、「母さん、僕のあの帽子どうしたでしょうね」、森村誠一の原作小説とタイアップしての「読んでから見るか、見てから読むか」といったキャッチコピーによるCM攻勢が話題を集め、この年の日本映画最大のヒットとなったのです。
『犬神家の一族』の大ヒットは、原作者・横溝正史のブームを築き上げましたが、その波に乗って77年は同じ市川崑監督・石坂浩二主演によるシリーズ第2弾『悪魔の手毬唄』と第3弾『獄門島』が東宝で公開されました。中でも『悪魔の手毬唄』は女と男の悲哀を描いたシリーズ最高作との誉れも高い傑作としても屹立。『獄門島』も原作と犯人を変えた展開が話題を集めました。
松竹では野村芳太郎監督の『八つ墓村』が製作されましたが、これは『犬神家の一族』以前から企画が進められていたもの。舞台を現代に変え、人間の怨念の有無を問うたオカルト的要素を内包した問題作として成立させています。公開時は原作ファンの激しい賛否を集めながらも、そのおどろおどろしい日本風土の描出が興味を集めて、これまた大ヒットを記録しました。脚本は橋本忍。なお野村芳太郎と橋本忍はこの年、大自然への畏怖を描いた森谷司郎監督の『八甲田山』も製作し、こちらも大成功を収めています。

この年はハリウッド映画に倣った大作も続出しています。これは特に東映映画に顕著な傾向で、たとえば、中島貞夫監督の『やくざ戦争 日本の首領(ドン)』は、日本版『ゴッドファーザー』のごとき貫録を狙って製作された壮大なスケールのヤクザ映画で、ストーリーも政財界まで巻き込みつつ、最終的には3本のシリーズとなっています。また、寺山修司監督が撮った『ボクサー』は、ボクシング映画『ロッキー』に触発されて企画されたものですが、大のボクシング・ファンでもある寺山監督は、モノマネ映画の域におとしめることなく、寺山ワールド独自の世界観を披露。『ロッキー2』に先駆けたクライマックスの試合展開もお見事でした。
ほか、『JAWS/ジョーズ』など動物パニック映画の変形として位置づけられる倉田準二監督による特撮映画『恐竜・怪鳥の伝説』や、『エクソシスト』に始まるオカルト映画ブームに乗せた伊藤俊也監督の『犬神の悪霊(たたり)』といった作品も登場。特に後者は日本の風土に根差した因習や差別意識などこそが悪霊を呼び寄せるという、伊藤監督ならではの社会派的な意識に基づいた大胆な発想の異色作でした。

既にロマンポルノ路線を敷いて久しかった日活も、小沼勝監督『性と愛のコリーダ』のような秀作群に交じり、曽根中生監督によるシリーズ第3弾『嗚呼!!花の応援団 男涙の親衛隊』、加藤彰監督の『野球狂の詩』と、一般映画を定期的に発表するようになっていきます。特に『野球狂の詩』はヒロイン水原勇気に扮した木之内みどり(現・竹中直人夫人)の可愛らしさも相俟って、今なお人気の高いアイドル映画として支持されています。原作は水島新司。ちなみにこの年、同じ水島原作の『ドカベン』も東映で映画化(鈴木則文監督)されています。
アニメーション映画では、『宇宙戦艦ヤマト』劇場版が大ヒットを記録しており、まもなくして日本映画界はアニメを抜きにしては語れなくなるほどに、大きなポジションを占めるようになっていきます。なお、現代の子どもたちのバイブルともいえる『コロコロコミック』が創刊されたのも77年でした。

こういった賑やかな話題に満ちながら風雲急を告げていった77年の日本映画界の中、各賞のベスト・ワンを独占したのは山田洋次監督の『幸福の黄色いハンカチ』でした。巷がどんなに流行その他の類で賑わおうとも、決してその波に流されることなく独自のヒューマン世界観を披露し続ける山田監督のスタンスは、ここでも俄然健在。また、この作品を機に北海道夕張市が大きくクローズアップされ、ついには映画祭まで開催されるようになっていったのも、特筆すべき映画的事象ともいえるでしょう。(文=増當竜也)
メディア/品番:DVD TDV2747D
発売日:2004.05.28
発売:東宝/販売:東宝ビデオ
税込価格:\5,040
本編尺:143分
カラー/画面サイズ:カラー/スタンダード
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DSTD02706
発売日:2007.07.21
発売:東映ビデオ/販売:東映
税込価格:\4,725
本編尺:103分
カラー/画面サイズ:カラー/スコープ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DB-0295
発売日:2009.01.28
発売/販売:松竹
税込価格:\3,990
本編尺:118分
カラー/画面サイズ:カラー/スタンダード
音声:モノラル
メディア/品番:DVD GNBD7303
発売日:2006.9.22
発売/販売:ハピネット
税込価格:\3,990
本編尺:100分
カラー/画面サイズ:カラー/スコープ
音声:モノラル
■特典:予告篇/解説書/ピクチャーレーベル
メディア/品番:DVD TDV2748D
発売日:2004.05.28
発売:東宝/販売:東宝ビデオ
税込価格:\5,040
本編尺:141分
カラー/画面サイズ:カラー/スタンダード
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DA-0627
発売日:2005.04.28
発売/販売:松竹
税込価格:\3,990
本編尺:108分
カラー/画面サイズ:カラー/スコープ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD TDV3252D
発売日:2004.11.26
発売/販売:東宝
税込価格:\4,725
本編尺:161分
カラー/画面サイズ:カラー/スタンダード
音声:モノラル
メディア/品番:DVD GNBD-1228
発売日:2005.12.22
発売/販売:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
税込価格:\3,990
本編尺:86分
カラー/画面サイズ:カラー/スコープ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD TDV2619D
発売日:2001.09.21
発売/販売:東宝
税込価格:\6,300
本編尺:88分
カラー/画面サイズ:カラー/スタンダード
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DSTD02652
発売日:2007.01.21
発売:東映ビデオ/販売:東映
税込価格:\4,725
本編尺:94分
カラー/画面サイズ:カラー/16:9LB
音声:モノラル
メディア/品番:DVD DSTD02298
発売日:2004.07.21
発売:東映ビデオ/販売:東映
税込価格:\4,725
本編尺:132分
カラー/画面サイズ:カラー/スコープ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD BBBJ-7384
発売日:2005.2.01
発売:日活/販売:ハピネット
税込価格:\2,380
本編尺:95分
カラー/画面サイズ:カラー/スコープ
音声:モノラル
メディア/品番:DVD GNBD-1330
発売日:2007.9.21
発売/販売:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント
税込価格:\3,990
本編尺:69分
カラー/画面サイズ:カラー/スコープ
音声:モノラル
■特典:予告篇/解説書/ピクチャーレーベル